黒髪の文化史を研究している大原梨恵子さんは、江戸時代の髪型について「髪型の様態を見れば、その人の身分、職業、年齢が分かるようになり、より細分化されていた」と言っています。そのように日本では「髪型」がその人の身分を象徴するものになっていました。
又、奈良時代に制定された「冠位十二階の制度」では、位階や身分によって使用出来る色を上位から紫、青、赤、黄、白、黒の六色とし、それぞれの色をまた濃淡で二段階に分け、合計十二色に配しています。同形色の色では濃い方が高位になり、濃い紫が最上位の色になります。この「位階や身分による色」の規定は日本にかぎらず、インドや中国を始め、世界各国にもあったようです。
出家得度式では、先ず位階や身分によって型が決められていた髪の毛を剃り落とし、次に紫、青、赤、黄、白、黒等の身分や階級を表現する色を染め直し、壊れた色つまり汚れた色のお袈裟に改めるので「剃髪染衣(テイハツゼンネ)」と言い、また権威の虚飾を剃り落とす事から、出家得度式は「落飾(ラクショク)式」とも言われています。
「飾り」という字を大漢和辞典で調べると「いつわり、内実の非なるを外面のみ是なるが如くする」とあり、つまりいつわりの心を覆い隠す為に髪の型に権威をもたせたり、身にまとう装束の色に権威をもたせている事です。 |